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レンジフードの適切な高さとは?法的な基準や高さの決め方も解説

キッチンのコンロ上にはレンジフード(換気扇)を取り付けることが義務づけられています。設置する高さには法的基準がありますが、一度取り付けるとそう簡単に付け替えることはできないため、操作や掃除のしやすさ、見た目の問題などさまざまな面を考慮に入れながら設置することが重要です。本記事ではレンジフードの高さの基準や決め方を解説します。

レンジフードの高さに関する法的基準

レンジフード

レンジフードを設置する高さは、建築基準法と消防法による基準が定められています。

建築基準法

建築基準法では第20条の2第1号イの規定により、レンジフードを設置する高さは国土交通大臣が定める数値を基準としています。規定では「火源(コンロなどの加熱機器)または加熱器具に設けられた開口部(グリルなどの排気口)からレンジフード下端までの高さが1m以下」となっています。

※参考:e-gov法令検索.「建築基準法第20条」.(参照 2025-03-26)

※参考:国土交通省.「換気設備の構造方法を定める件」.(参照 2025-03-26)

消防法

消防法第9条の規定に基づいたレンジフードの設置高の基準は各市町村の条例で定められており、「火源(コンロなどの加熱機器)からレンジフードのグリスフィルターまでの距離は80cm以上」としています。グリスフィルターとは排気ダクトに油分が流れ込まないよう保護するために、レンジフードに取り付けられているフィルターのことです。レンジフードの吸い込み口に設置されているため、グリスフィルターの位置が建築基準法で用いられている「レンジフードの下端」とおおむね同義と見て良いでしょう。

※参考:e-gov法令検索.「消防法第9条」.(参照 2025-03-26).

※参考:総務省消防庁.「消防予第231号 電気を熱源とする調理用機器とグリスフィルターの離隔距離について(通知)」.(参照 2025-03-26)

結論:80cm~100cmの範囲に収める

 

つまりどちらの基準も満たしてレンジフードを設置するには、火源(コンロなどの加熱機器)からレンジフードの下端までの距離が80cm~1mの位置に設置する必要があります。

 

建築基準法と消防法は安全性や火災予防の観点から、それぞれに適切な高さを定めています。まずはこの基準を守り、さらにキッチンのデザインや主に使用する人の身長などさまざまな面を考慮に入れながらレンジフードを設置することが大切です。

特定のニーズに対応したレンジフードの高さ

 

建築基準法と消防法を加味したレンジフードの高さは、80cm~1mと20cmもの幅があります。「主に高齢者の方が使用する」「キッチンが狭い」など特定のニーズや条件がある場合は、この範囲内で負担なく利用できるよう設置位置を検討すると良いでしょう。

 

高齢者や小柄な方が利用する場合

 

レンジフードの操作ボタンはレンジフード本体に付いていることもあります。高い位置にレンジフードを付けてしまうと、スイッチを入れるたびに背伸びをしなければならず、高齢者にとってはかなり不便といえるでしょう。ホコリや油汚れがたまると換気効率が下がるため定期的な掃除は欠かせませんが、レンジフードの位置が高過ぎれば掃除もしにくくなります。

 

操作や掃除で転倒するリスクもあるので、バリアフリーの面から見ても無理なく操作できる高さに設置することが大切です。どうしても丁度良い高さに設置できない場合は、リモコン付のレンジフードを選ぶのも有効な方法です。

 

キッチンが狭い場合

 

キッチンが狭い場合、レンジフードの位置が低いと余計に部屋が狭く強調され、圧迫感を覚えやすくなります。例えば、吹き抜けのリビングなどは、天井を高くすることで開放感を演出する効果があります。これを応用し、できるだけレンジフードを高い位置に設置すれば、視覚的に空間を広く見せることができるでしょう。天井も低く高い位置にレンジフードを設置できない場合は、スリムタイプなどすっきりと見える薄型のレンジフードを選ぶ方法もあります。

 

レンジフードの高さが換気性能に与える影響

悩み

レンジフードの設置位置が高過ぎれば換気能力が下がります。湯気や煙などは上昇気流となり上に昇りますが、上に行くほど横に広がりやすい特徴があります。そのためレンジフードの位置が高過ぎると、吸い込まれる前に部屋に湯気や煙が広がりかねません。レンジフードの換気効率は高さだけでなく幅も関係しますが、適切な高さに設置しなければ本来の効果を得られない点は押さえておきましょう。

 

とはいえ、低過ぎれば調理の邪魔になりかねません。頭をぶつけてしまう危険性もあるでしょう。建築基準法と消防法の基準にのっとった上で適切な位置に設置することは、レンジフードの性能を十分に発揮し、快適に使用するために欠かせないのです。

 

適切なレンジフードの高さの決め方

 

レンジフードの高さは80~100cmの間であれば自由に決められます。いつも使う人の身長やコンロの種類、キッチンのレイアウトなどさまざまな面を考慮しながら、快適に利用できる位置に設置しましょう。

 

身長から計算する

 

レンジフードの高さは、主にキッチンを使用する方の身長を基準に決めると良いとされています。基準として用いられるのが以下の式です。

身長÷2+5cm

この計算式を参考に、身長が150~170cmの人の場合の推奨されるレンジフードの高さ(コンロからレンジフード下端までの高さ)の目安をまとめました。

身長(cm) 推奨されるレンジフードの高さ(cm)
150 80
160 85
170 90

なお、キッチンでいつもスリッパを履く方は、スリッパの高さも加味して計算すると、より快適に使用しやすくなるでしょう。

 

コンロの種類から決める

 

コンロの種類からレンジフードの高さを決める方法もあります。コンロには大きく分けてガスコンロとIHコンロがあります。火を使うコンロは周辺の空気まで温めるため上昇気流が起こりやすく、高い位置にあるレンジフードにも煙や湯気が届きやすい傾向です。

一方IHコンロでは周辺の空気まで温めることはできないため上昇気流が起こりにくく、レンジフードの位置が高いと煙や湯気が届きにくい特徴があります。

 

この特徴を押さえておけば「ガスコンロなので、コンロ周りを広々と使うために高めの位置に設置しよう」「IHコンロだからしっかりと臭いを排出させるために低めに設置しよう」といった具合にレンジフードの高さを決めることもできます。

 

キッチンのレイアウトから決める

 

キッチンがどのようにレイアウトされているかで、レンジフードの高さを決める方法もあります。キッチンには大きく分けて「壁付けキッチン」と「対面キッチン」の2種類があります。壁付けキッチンはコンロ前に壁があるため、調理中の煙や臭いが広がりにくいキッチンです。そのため壁付けキッチンなら、レンジフードを高めに設置しても問題なく排気できるでしょう。

 

一方アイランド型に代表される対面キッチンは、調理中の煙などを遮断するものがありません。煙などが部屋に拡散しやすいため、レンジフードはできるだけ低めに設置するのがおすすめです。

 

天井の高さから決める

 

天井の高さからレンジフードの位置を決めるのも有効な方法です。一般的なキッチンが85cm前後、それにレンジフードまでの高さとレンジフードそのものの高さを加えたものが天井高に収まらなければいけません。天井が低い場合は薄型のレンジフードを選ぶなど、キッチンとレンジフードのサイズを考慮しながら、天井の高さに合わせてどの位置に設置するか決めると良いでしょう。

 

複数人でキッチンを使う場合のレンジフードの高さは?

 

キッチンを使う人が複数人の場合は、一番背の高い人に合わせるのがおすすめです。身長差がある場合、背の高い人に合わせても背の低い人は踏み台などを使えばレンジフードの操作や掃除も可能です。

しかし、背の低い人に合わせてしまうと、背の高い人は調理中ずっと邪魔に感じたり頭をぶつけないか注意したりしなければなりません。誰もが快適に調理に集中できるよう、複数の人がキッチンを利用するなら一番背の高い人に合わせるようにしましょう。

 

レンジフードの高さに関するQ&A

Q&A

レンジフードの高さに関する良くある質問をまとめました。「レンジフードを買い替えたい」「キッチン周りをリフォームしたい」と考えている方は参考にしてください。

 

標準的なレンジフードの高さは?

 

主にキッチンを使用する人の身長によって異なりますが、標準的なレンジフードの高さは80~90cmです。建築基準法と消防法に定められている、コンロから80~100cmも加味し、操作や掃除がしやすい位置に設置するのが望ましいでしょう。

 

調理方法(揚げる、焼く、ゆでる)によって適切な高さは変わる?

 

レンジフードの高さは、調理方法によって大きく変える必要はありません。調理で発生する蒸気は上昇するにつれて横に広がる性質があるため、調理する人が長身など他に条件がない限り、あえて高い位置に設置する必要はないでしょう。

 

ゆでたり煮物を作ったりする場合は蒸気や臭いが広がるだけで済みますが、揚げ物や焼き物の場合は油気を含んだ湯気が室内に拡散すると、壁や家具がベタつく原因になります。そのため換気効率だけを考えるなら、調理方法にかかわらずコンロに近い低い位置に設置した方が良いでしょう。

 

レンジフードの高さは消費電力に影響する?

 

レンジフードを高い位置に設置した場合、上述もしたように換気効率が下がります。そのため、効率的に煙や臭いを排出するには常に強いパワーでレンジフードを作動させなければいけない可能性があります。そうなれば当然消費電力は高くなるでしょう。レンジフードは多くの場合、「強・中・弱」など、必要に応じて風量を変えられるようになっています。強と弱では風量が2倍以上変わることもあるため、適切な風量で使うことは節電につながります。高過ぎる位置にレンジフードがあるなら、消費電力に影響する可能性は十分にあるでしょう。

 

効率的なレンジフードの高さは?

 

建築基準法と消防法に定められている、コンロから80~100cmの高さが換気効率の良い高さと考えられています。レンジフードメーカーもこれを基準に排気効率を考えて設計しているため、排気効率を考えるならやはり、法律の基準内の高さで設置するのがおすすめです。

 

レンジフードの高さはキッチンのデザインに影響する?

 

レンジフードの高さは、排気効率だけでなく見た目の問題にも影響します。特にアイランド型のように全面がオープンになっているキッチンでは、レンジフードが目立ちます。もちろんレンジフードのデザインによっても印象が変わるため、キッチン全体のバランスを見て取り付けることも大切です。

 

レンジフードの高さは吊戸棚の高さと合わせるべき?

 

吊り戸棚を設置した壁付キッチンや腰壁付の対面キッチンでは、吊り戸棚の底面とレンジフードの下端をそろえるのがおすすめです。底面をそろえれば統一感が生まれるため、すっきりした印象のキッチンにできます。

 

まとめ

 

レンジフードの高さは安全性や操作性、排気効率などの面から、コンロより80~100cmの高さに設置することが法律で定められています。キッチン全体のデザイン面なども考慮し、この範囲内でキッチンを使う人が快適に操作できる高さに設置しましょう。

 

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